Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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どひょうのゆめ

土俵の夢

尾崎 士郎

Leggi 土俵の夢 (どひょうのゆめ) di 尾崎 士郎 (おざきしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4378 caratteri · 9 schermate

Aozora Bunko

国技館という競技場の残されていたことは土俵をめぐる民衆の興味を一つの雰囲気によって統合することのできたもっとも重大な原因でもあろう。毎場所、相撲の季節にはいると、両国界隈は俄かに色めきたって、橋の袂から街すじ一帯の空気には古風なざわめきが、しっとりと流れてきたものである。裏どおりにある相撲部屋の賑わいはもとよりであるが、柳橋から浜町にかけての夜をいろどる大川端の風景は水にうつる灯のかげもなまめかしく、打どめの櫓太鼓が鳴りわたると国技館の門からあふれだす人の波が幾つかの層をつくって両国橋の雑踏はさんざめく三絃の音の湧くがごとき巷の露地に吸い寄せられてゆく。国技館の内部では観覧席の改造説なぞが余ほど以前から頭をもたげていたが、土俵の古典美というものはこれをめぐる雰囲気の調和なしには決して保つことのできないものである。大たぶさに結った力士が色とりどりの化粧廻しをしめて東西の花道から繰りこんでくると、呼び出しの鳴らす拍子木が、しいんと高い丸天井にひびいて、今日を晴れの関取衆が順々に土俵にのぼってくる。

この色彩につながるところに雛壇の悠長極まる赤毛氈の観覧席があり、座敷着を着て、ほそい通路を往ったり来たりする芸妓のすがたがあった。