Classici giapponesi con furigana
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もぐら
土竜
佐左木 俊郎
Leggi 土竜 (もぐら) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9991 caratteri · 21 schermate
梅三爺はその後を言い続けられなかった。嬉しい気持ちなのか、それとも涙なのか、胸にこみあげて来るものが、梅三爺の言葉を遮った。
市平は、三年前に夜逃げをして行った時の彼とは、すっかり変わっていた。油に光沢を蓄えた髪を長くし、口髭を生やしていた。村の人々や父親を考えの中に入れて、知人の駅夫から借りて来た小倉の服には、五つの銀釦が星のように光っていた。保線課の詰め所に出入りする靴屋から、一カ月一円五十銭払いの月賦で買った革の長靴は、彼の予期通り、村の人々をも父親をも驚かした。
「これは市平、とっても立派な長靴でねえがや。巡査様の長靴だって、こんなに光んねえものな。」と、梅三爺は土まみれの、大きなごつごつした足を、それに突っ込んで見ようとした。
「父! 駄目だ、父。足さ合わせて拵えだのだがら、父足さなど這入んねえがら……」
「ほだべがな。俺足は生来、靴なんか穿ぐように出来でねえんだな。」と言いながら、半分ほど穿いたのを、梅三爺は難儀して脱いだ。
「天王寺あたりの人達、この長靴、じろじろど見でだけちゃ。」
こう言って市平は、ポケットから「敷島」の袋を取り出した。