Classici giapponesi con furigana
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もぐらとらくばん
土鼠と落盤
黒島 伝治
Leggi 土鼠と落盤 (もぐらとらくばん) di 黒島 伝治 (くろしまでんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.823 caratteri · 36 schermate
松ツァンは、二本の松葉杖を投げ棄ててタガネと槌を取った。彼は、立って仕事が出来なかった。で、しゃがんだ。摺古木になった一本の脚のさきへ痛くないようにボロ切れをあてがった。
岩は次第に崩されて行った。ピカ/\光った黄銅鉱がはじけ飛ぶ毎に、その下から、平たくなった足やペシャンコにへしげた鑿岩機が現れてきた。折れた脚が見え出すと、ハッパをかけるにしのびなかった。
「掘れ! 掘れ! 岩の下から掘って見ろ。」
鶴嘴とシャベルで、屍を切らないように恐る/\彼等は、落ちた岩の下を掘った。腥い血と潰された肉の臭気が新しく漂って来た。
「市三! 市三!」
跛の親爺は呼びつゞけた。が、そこからは呻きも叫びも何等聞えなかった。
「市三! 市三!……これゃどうしたってあかん!」
松ツァンの声は、薄暗い洞窟に、悲痛なひゞきを伝えた。井村は面をそむけた。
腥い臭気は一層はげしくなって来た。
「あ、弥助爺さんだ。」
落盤を気づかっていた爺さんが文字通りスルメのように頭蓋骨も、骨盤も、板になって引っぱり出された。
うしろの闇の中で待っていたその娘は、急にへしゃげてしまった親爺の屍体によりかゝって泣き出した。