Classici giapponesi con furigana
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ちじょう
地上
島田 清次郎
Leggi 地上 (ちじょう) di 島田 清次郎 (しまだせいじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 175.250 caratteri · 350 schermate
と叫んだ。
「おうい!」弾力のある俊太郎の声が海の微風に送られて響いて来た。
やがて船の進行が止まって新しい錨がぎらり青い光を閃かして海に投げ入れられた。海は新しい船を軽々と白鳥のように浮べたままゆらりゆらり波をうねらせていた。海上に下された一艘の伝馬が俊太郎を乗せて近づいて来た。
「よう、ありがとう」
「おう」と俊太郎と容一郎の手を握り合った瞬間、容一郎の眼には涙がにじみ出ていた。
「わざ/\すまなかった。お光さんも来て下さって!」という簡素な言葉と真から懐かしげにしげしげ見下している清らかな黒目勝ちな眼には、兄妹に対する明るい愛が現われているのをお光は知った。
「いい景気だったよ! とても松前の景気を見て来るとこの辺は死んでいるようなものだあね」睫毛をしば/\させる俊太郎の細身に見える程に引きしまった筋肉を日はたら/\と照した。容一郎は見上げるようにして、
「いい船だ、思ったよりいい船だね」と言った。
「どうしてしっかりしている。佐渡の近くで不意な暴風にでっくわしてもびくともしなかったっけ――どうも暑い! 船へ行こう。船上は帆の影で涼しい」
容一郎は黙っていた。