Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ちじょう
地上
島田 清次郎
Leggi 地上 (ちじょう) di 島田 清次郎 (しまだせいじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 175.250 caratteri · 350 schermate
彼は手紙を敵の只中へ出す気にもなれなかった。深井も心配した。深井は家人にそれとなく聞いて貰っても返答はいつも「少し病気で遠方の親類へ行っております、おほほほ」でぼかされてしまった。平一郎の唯一つの望みは和歌子からの手紙になってしまった。学校から帰ると彼はお光に「手紙は来ていないか」と怒鳴った。手紙は来なかった。彼は焦々した。不安がどす黒い湿った暗い塊になって彼の精神の髄にしみつき堆積して行くのをどうにもしようがなかった。一斉に爆発すればそのあとは夕立のあとのように清々しいが、積み重なって行く鬱屈は永い苦痛のうちに陥れ、人間を腐らしてしまう。平一郎は恋人を奪われた寂寥、奪って行った無法な権力に対する怒り、彼の幸福を蹂み躪り彼の光栄を汚す、今あり/\と直観される賎俗な社会の力に対する、潜める全身的な憤怒を感じた。そして、この激烈な感情を燻らせつつも独立を全うしない未能力者の彼は、苦しい日々の生活を迎えねばならなかった。彼はもう運動もせず、勉強もせず、一切の活力の健全な吐口を閉塞された死人のような人間になりかけて来た。彼は深井をさえ白眼で睨みつける日があった。