Classici giapponesi con furigana
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ちじょう
地上
島田 清次郎
Leggi 地上 (ちじょう) di 島田 清次郎 (しまだせいじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 175.250 caratteri · 350 schermate
)平一郎は訳もなくそういうことを考えて、自分の行きづまった生気のない幽鬱な現在の生活を二人の前に羞じずにはいられない気がした。ああ、ほんとに、この同じ地上には和歌子もいれば冬子もいるのだ。どうして自分は立派な人間にならないでおこうか。彼には今のままで学校へ行くことが本能的に苦痛になって来ている。彼は自分はどうしたらよいのだろうと考えた。世界が暗くなって感じられた。彼は眠られない深夜、眼を開いたまま涙をこぼした。
三月の三十日、ほんの二、三日のうちに暖かさを増した晩冬の太陽が街上を流れる雪どけの水に映る日であった。お光は寒気がするので離室で寝ていた。午後、赤々と太陽が障子に射しているのを夢心地で眺めていると、障子に人の影が映った。
「どなた」
「小母さん、わたしですの。冬子ですの」
「小母さん暫くでございました」
障子が開けられた。冬子は長い間頭を上げなかった。
「まあ、おはいり。今日は寒気がしたものですから――」そして、お光は冬子と顔をあわした。涙がゆるやかに湧くのを止めるようにお光はにこやかに柔らいで、
「ほんとに、夢でないのかしら。でも、冬子さんは少しも変わらないで」