Classici giapponesi con furigana
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こうふ
坑夫
Leggi 坑夫 (こうふ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.690 caratteri · 283 schermate
さっき毒突かれた事を思い出すと、南京虫よりよっぽど厭だ。夜が明ければいい、夜が明ければいいと思いながら、自分は表へ向いた窓の方へ歩いて行った。するとそこに柱があった。自分は立ちながら、この柱に倚っ掛った。背中をつけて腰を浮かして、足の裏で身体を持たしていると、両足がずるずる畳の目を滑ってだんだん遠くへ行っちまう。それからまた真直に立つ。またずるずる滑る。また立つ。まずこんな事をしていた。幸い南京虫は出て来なかった。下では時々どっと笑う。
いても立ってもと云うのは喩だが、そのいても立ってもを、実際に経験したのはこの時である。だから坐るとも立つとも方のつかない運動をして、中途半端に紛らかしていた。ところがその運動をいつまで根気にやったものか覚えていない。いとど疲れている上に、なお手足を疲らして、いかな南京虫でも応えないほど疲れ切ったんで、始めて寝たもんだろう。夜が明けたら、自分が摺り落ちた柱の下に、足だけ延ばして、背を丸く蹲踞っていた。
これほど苦しめられた南京虫も、二日三日と過つにつれて、だんだん痛くなくなったのは妙である。その実、一箇月ばかりしたら、いくら南京虫がいようと、まるで米粒でも、ぞろぞろ転がってるくらいに思って、夜はいつでも、ぐっすり安眠した。