Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
こうふ
坑夫
Leggi 坑夫 (こうふ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.690 caratteri · 283 schermate
待ち兼ねた連中は急いで立ち上がって、みんな鉄網の前へ集ってくる。この時長蔵さんの態度は落ちつき払ったものであった。例の太刀のごとくそっくりかえった「朝日」を厚い唇の間に啣えながら、あの角張った顔を三が二ほど自分の方へ向けて、
「御前さん、汽車賃を持っていなさるかい」
と聞いた。また自分の未熟なところを発表するようだが、実を云うと汽車賃の事は今が今まで自分の考えには毫も上らなかったのである。汽車に乗るんだなと思いながら、いくら金を払うものか、また金を払う必要があるものか、とんと思い至らなかったのは愚の至である。愚はどこまでも承認するがこの質問に出逢うまでは無賃で乗れるかのごとき心持で平気でいたのは事実である。よく分らないけれども、何でも自分の腹の底には、長蔵さんにさえ食っついてさえおれば、どうかしてくれるんだろうと云う依頼心が妙に潜んでいたんだろう。ただし自分じゃけっしてそう思っていなかった。今でもそうだとは自分の事ながら申しにくい。けれども、こう云う安心がないとすれば、いくら馬鹿だって、十九だって、停車場へ来て汽車賃の汽の字も考えずにいられるもんじゃない。