Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こうふ

坑夫

夏目 漱石

Leggi 坑夫 (こうふ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.690 caratteri · 283 schermate

Aozora Bunko

この鉱山行だって、昔の夢の今日だから、このくらい人に解るように書く事が出来る。色気がなくなったから、あらいざらい書き立てる勇気があると云うばかりじゃない。その時の自分を今の眼の前に引擦り出して、根掘り葉掘り研究する余裕がなければ、たといこれほどにだってとうてい書けるものじゃない。俗人はその時その場合に書いた経験が一番正しいと思うが、大間違である。刻下の事情と云うものは、転瞬の客気に駆られて、とんでもない誤謬を伝え勝ちのものである。自分の鉱山行などもその時そのままの心持を、日記にでも書いて置いたら、定めし乳臭い、気取った、偽りの多いものが出来上ったろう。とうてい、こうやって人の前へ御覧下さいと出された義理じゃない。

自分が腐爛目の難を避けて、向う側に席を移すと、長蔵さんは一目ちょっと自分と腐爛目を見たなりで、やはり元の所へ腰を掛けたまま動かなかった。長蔵さんの神経が自分よりよほど剛健なのには少からず驚嘆した。のみならず、平気な顔で腐爛目と話し出したに至って、少しく愛想が尽きた。

「また山行きかね」

「ああまた一人連れて行くんだ」

「あれかい」

と腐爛目は自分の方を見た。