Classici giapponesi con furigana
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ほうおんき
報恩記
Leggi 報恩記 (ほうおんき) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.803 caratteri · 30 schermate
雪の深い茶室の前には、大明竹の垂れ伏したあたりに、誰か二人掴み合っている――と思うとその一人は、飛びかかる相手を突き放したなり、庭木の陰をくぐるように、たちまち塀の方へ逃げ出しました。雪のはだれる音、塀に攀じ登る音、――それぎりひっそりしてしまったのは、もうどこか塀の外へ、無事に落ち延びたのでございましょう。が、突き放された相手の一人は、格別跡を追おうともせず、体の雪を払いながら、静かにわたしの前へ歩み寄りました。
「わたしです。阿媽港甚内ですよ。」
わたしは呆気にとられたまま、甚内の姿を見守りました。甚内は今夜も南蛮頭巾に、袈裟法衣を着ているのでございます。
「いや、とんだ騒ぎをしました。誰もあの組打ちの音に、眼を覚さねば仕合せですが。」
甚内は囲いへはいると同時に、ちらりと苦笑を洩らしました。
「何、わたしが忍んで来ると、ちょうど誰かこの床の下へ、這いこもうとするものがあるのです。そこで一つ手捕りにした上、顔を見てやろうと思ったのですが、とうとう逃げられてしまいました。」
わたしはまださっきの通り、捕り手の心配がございましたから、役人ではないかと尋ねて見ました。