Classici giapponesi con furigana
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とうじょうのきじゅつし
塔上の奇術師/鉄人Q
江戸川 乱歩
Leggi 塔上の奇術師/鉄人Q (とうじょうのきじゅつし) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 151.766 caratteri · 303 schermate
うしろのヨシ子ちゃんの西洋館からも、百メートルもはなれています。それに、あのあつい壁の窓の小さいたてものですから、叫び声が聞こえようとも思われません。
でも、スミ子ちゃんは、叫ばないではいられませんでした。
「だれかきてえ……、たすけてえ……。」
すると、道化師の手ぶくろをはめた手が、バアッと顔の前にきて、スミ子ちゃんの口をおさえてしまいました。
「声をたてるんじゃない。声をたてると、いたい思いをしなけりゃならないぞ。さあ、こっちへくるんだ。おもしろいサーカスを見せてやるからな。」
道化師は、スミ子ちゃんをだきあげて、いきなり走りだしました。
原っぱをよこぎると、そこのさびしい道路に、一台の自動車が待っていました。
道化師は、その自動車の後部席へスミ子ちゃんをほうりこみ、自分もあとからはいって、ばたんとドアをしめ、
「うまくいった。いそぐんだッ。」
と、運転手に声をかけました。この運転手も道化師のなかまのものにちがいありません。
「これから町を走るからな、すこし、きゅうくつな思いをしてもらわなけりゃならない。ちょっとのしんぼうだよ。」
そんなことをいいながら、道化師は、大きなハンカチをまるめて、スミ子ちゃんの口の中へおしこみ、その上から、てぬぐいのようなきれで、口をしばってしまいました。