Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぼちてんぼうてい

墓地展望亭

久生 十蘭

Leggi 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 46.485 caratteri · 93 schermate

Aozora Bunko

少女が、ためいきをつく。

「あたくしも、あなたほど勇敢だったら……」

竜太郎は、返事をしなかった。

少女は、いままで鼬鼠のケープの下に隠していた、美しい小さな手を抜き出すと、竜太郎が指をかけている揺椅子の肱のところへそっと載せた。竜太郎は、うるさくなって、手を引こうとするはずみに、思わず指先が少女の手に触れた。それでも、少女の手は動かなかった。

「竜太郎さん……」

少女は、胸の上に顎をつけながら、ほのかな声で、叫んだ。

「……竜太郎さん」

暖かな、小さな手がしずかに這いよって来て、細い、嫋やかな指が、すんなりと竜太郎の指に絡みついた。

竜太郎は、眼を外らして、薄光りのするくろい海の面を眺めていた。

(さて、これから、どうしようというんです、お嬢さん)

明日、必ず自殺するつもりだと言い切ると、いきなりこの指が絡みついて来た。このちっぽけな頭の中で、いったい、どんな陰謀をたくらんでいるのか。……何にしても、解しかねる次第だった。

揺椅子の中で、劇しく呟きこむような声がする。振りかえって見ると、小女が声を忍ばせながら啜り泣いているのだった。

「どうしたんです」