Classici giapponesi con furigana
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ぼちてんぼうてい
墓地展望亭
久生 十蘭
Leggi 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 46.485 caratteri · 93 schermate
卓に頬杖をついて涙ぐみながら、飽かず糸杉の小径を眺めているうら若い婦人。それから、父や母のそばでしょんぼりしている子供たち。
万事、そういう調子で、ほかの喫茶店のような喧騒さは、ここにはほとんどなく、いつも、ひっそりとしめりかえっていた。
ここの常連の中で、特別に私の心をひいた一組の若い夫婦づれがあった。男性のほうは、三十五六の、端麗な顔をした日本人で、女性のほうは、スラブ人とも見える、二十歳をやっと越えたばかりの、この世のものとも思われぬような美しい面ざしの婦人である。
二人は、毎月、八日の午後四時頃になるとやって来て、第二通路の角の大理石の墓碑に花束を置き、一ときほどここの土壇で休んでは、睦まじそうに腕を組んで帰ってゆく。
ある夏の夕方、私は墓地の中を気ままに散歩していたが、ふと、あの二人がどういう人の墓に詣でるのかと思い、廻り道をしてその墓のあるところへ行って見た。
それは、カルラロの上質の大理石に、白百合の花を彫った都雅な墓碑でその面には、次のような碑銘が刻まれていた。
リストリア国の女王たるべかりしエレアーナ皇女殿下の墓。――一九三四年三月八日、巴里市外サント・ドミニック修道院に於て逝去あらせらる。