Classici giapponesi con furigana
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ぼちてんぼうてい
墓地展望亭
久生 十蘭
Leggi 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 46.485 caratteri · 93 schermate
まさに、手も足も出ない感じだった。不吉な想念がひしひしと胸に迫って、いても立ってもいられぬような焦躁を感じる。といって、どうすることも出来ない。味気なく煙草をくゆらして、わずかに紛らわすほかはなかった。
ちょうど、その時、真向いの家の二階の窓にチラと人影がさしたと思うと、窓硝子の割れるけたたましい音がし、絹を裂くような叫び声と共に、破れた窓硝子の穴から、白い細い手が、空をかい探るように、ニュッと二本突き出された。が、それも瞬時のことで、幻のように白い手は消え、そのかわりに、今度は、荒々しい四五人の男の怒声が聞えてきた。
竜太郎は、ベンチから跳ね上ると、加勢でも求めるというふうに、反射的にすばやく道路の右左を眺めた。河沿いの長い道路には、ただひとつの人影もなかった。
怒声と鋭い女の叫び声は、それから暫くつづいていたが、突然、劈くような一発の銃声が響きわたり、それなりどちらの声も聞えなくなってしまった。
竜太郎が、息をつめながら、瞬きもせずに二階の窓を見上げていると、間もなく、入口の扉が手荒に内側から押し開けられ、空色の服を着た年若い娘が灰色の外套を着た三人の男に手をとられながら、低く首を垂れてよろめき出した。