Classici giapponesi con furigana
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ぼちてんぼうてい
墓地展望亭
久生 十蘭
Leggi 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 46.485 caratteri · 93 schermate
竜太郎は、一挙に扉を押し開けると、部屋の中におどり込んで、机の抽斗に跼み込んでいる男の肩の上へ襲いかかった。竜太郎の逞ましい膝頭の下で、闖入者が鋭い悲鳴をあげた。しなしなした小さな身体だった。
襟髪をつかんで、力まかせに窓ぎわまで引きずって行き、あいた片手で、窓掛を押し開けた。
ヤロスラフ少年だった!
乱れた髪を、眉のうえに垂らし、首をさげて、しょんぼりと立っている。
竜太郎は、ヤロスラフの顔を眺めていた。意外なようでもあり、また、当然のような気もした。王女の写真を盗んだのは、やはり、ヤロスラフ少年だった。
「写真を盗んでいったのは、君だったんだね、ヤロスラフ君」
ヤロスラフ少年は、かすかに、うなずいた。
「いったい、何のために?」
返事は、なかった。
「言いたまえ!」
「……」
勃然とした怒りがこみ上げてきた。ヤロスラフの肩を掴んで、
「言え! 言わないと、殺すぞ」
ヤロスラフ少年は、顔をあげた。自若とした色があった。
「それは、申し上げられません。たとい、殺されても」
みなまで、聞いていなかった。服の襟のところを引ッつかむと、跳腰で力任せに壁へたたきつけた。