Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

へんじんでん

変人伝

佐々木 邦

Leggi 変人伝 (へんじんでん) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.178 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

父は怒ってしまった。

「おれはもう幸太郎さんとは附き合わない」

僕が某高等学校へ入ると間もなく、父はその所在地の女学校へ栄転した。父としては好い廻り合せだと思っていたが、実は天然自然に然うなったのではなかった。母が叔父に頼んだのだった。叔父の友人がその県の学務部長をしていたから、巧く計らって貰ったのだった。その夏、叔父が採集旅行の途中を立ち寄った時、父は頻りにお礼を言った。叔父は植物学が専門だ。誰も知らなかった苔を発見して、オーノコータリヤと学名をつけている。これで大野幸太郎が世界的に残る積りだ。

「道彦は折角高等学校へ入ったのに、何故学問をやらない?」

と叔父は窘めるような調子で訊いた。

「はあ?」

「同じことなら、学問をやったら宜いだろう」

「文科です。国文学をやるんですから学問でしょう」

「文学は学問じゃない。学問らしい系統をつけた常識だ」

「常識じゃないです。一種の学問です」

「一種というなら勘弁して置く。文学は人間の拵えた学問だ。そんなものよりも自然の拵えた学問をやって貰いたかった」

「植物学ですか?」

「うむ。お前が植物学をやってくれゝば、叔父さんの後継ぎにするんだけれど」