Classici giapponesi con furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Leggi 夏の葬列 (なつのそうれつ) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 60.161 caratteri · 122 schermate
……ぼくの、甘い下心は死んだ。
ぼくはそのときのやりとりに、まるでぼく自身の愚かしく卑屈な不安定さを相手にしたみたいな、ある不快な憤慨をおぼえて、もう二度と彼と口をきく努力はすまいと決心した。――気の合う友だちを残留組に勧誘しなかったことをぼくは悔んだが、もはやすべては後の祭りだった。休むことは落第することでしかなかったのだ。
かつて「白堊の殿堂」とさえ呼ばれた天現寺の鉄筋コンクリートの校舎は、完成してまだ十年にみたなかった。戦争まえまで、それは東洋一の設備と瀟洒な美観を誇るものだといわれていた。が、対空擬装とやらで、ところどころ――といってもその半分以上を、純白のコンクリートの上に容赦なく迷彩の黒いコールタールを塗られてしまったので、幾何学的な線で白黒に染め分けられたその姿は、いまははなはだ異様なものであった。奇怪ともみっともないともいいようのない、みじめで情ない姿なのだ。中央部から屹立する高さ二十メートルほどの煙突も、半分までを真黒に塗られていた。かつてそれはスチームの黒煙を濛々と吐きながら、白いキリンの首のように、優美に周囲を見下ろしつつ大空に鮮やかに直立していたというのに。