Classici giapponesi con furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Leggi 夏の葬列 (なつのそうれつ) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 60.161 caratteri · 122 schermate
だれ一人あらわれない授業時間に、ぼくがそこで過す時間は多くなった。秘密のそこはぼくのホーム・グラウンドであり、ぼくはその壁の直角になった隅に背をもたせて本を読んだり、弁当をたべたりもした。――同僚は、たいてい磨かれたように白く光っている白米のぎっちりつまった豪華な弁当をひろげていたが、ぼくのはたいていフスマのパンか、粟飯のパラパラなのを防ぐためにそれを小さなお握りにしたやつであった。ぼくは我慢をして、一人だけ、五時間目の終るころにたべた。さもないと、帰りの汽車の中で目が廻るほど空腹になるのだ。
しかし、ぼくは元気だった。その日の分にきめた一冊を読み終えたときなど、ぼくは激しい速度感をためしてみたいような健康へのうずうずした心の傾斜に敗け、人ひとりいないのを幸い、一人で気違いのように叫びながら、屋上を疾走してまわったりする。……なにか、それでも物足りはしない。全身全霊をうちこんで、という表現がピッタリするような感覚に、たしかに、いつもぼくは渇いていた。
年が変っても、同級生らの動員はいっこうに解除されなかった。しぜん、ぼくは居残りの一員としての毎日をつづけねばならなかったが、かえってそれがぼくには好都合に思えた。