Classici giapponesi con furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Leggi 夏の葬列 (なつのそうれつ) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 60.161 caratteri · 122 schermate
そうだ。孤独とは、だれも手を下して自分を殺してはくれないということの認識ではないのか。……そして、ぼくはぼくの孤独だけを感じた。
そのとき、やっとぼくに恐怖がきた。それは山口という一人の他人には無縁な、ぼくだけの恐怖だった。いわばぼく自身の生命を、最後までぼく一人の手で始末せねばならないという、冷厳で絶対的な人間のさだめへの恐怖だった。
――十分とも、三十分とも思える時間が過ぎ、その間、ぼくらは無言で化石したみたいに煙突の上を動かなかった。やがて、ぼくがそろそろと腰をずらせ、山口がすぐそれにつづいた。
指が凍え、硬直して、しかもその指で鉄梯子をつかむと、まるで氷の棒をじかにつかむように、鉄棒はさらにつめたく冷えきっているのだった。……
屋上に着いたぼくらは、おたがいに笑いの消えた顔で、いいあわせたように首を上げ、いま下りてきたばかりの煙突を仰いだ。
煙突は、白黒に塗り分けられた姿のまま、不透明に白濁した冬の寒空のなかに、いつものとおりただ茫洋と無感動にそびえていた。
背景の白い雲がゆっくりと泳いでいて、一瞬、その煙突の姿は軍艦の司令塔みたいに、ぼくらとともにどこかへ進んでいるような気がした。