Classici giapponesi con furigana
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なつくさせんき
夏草戦記
山本 周五郎
Leggi 夏草戦記 (なつくさせんき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.107 caratteri · 41 schermate
こっちの応戦しないことをみきわめているとみえ、前へ前へと大胆に進みながら撃ちかけた。いちばん接近したものは火繩を吹くありさまさえ見えたほどである。
「よく飽きもせずに撃ちやがる、やつらは撃てるだけ撃ってはやく荷を軽くしたがっているんだぜ」「鉄砲だけ撃っても突っ込んで来ないところをみるとやつらの刀は錆びついているに違いない」「上杉ではなくって撃ち過ぎと名を変えるがいい、ぷっ、畜生、おれの髭をかすりあがった」そんな囁きがあちらこちらに聞えた。新九郎は古い樫木の幹にぴったり身をよせかけ、敵のようすと、あたりにひそんでいる味方の者たちとをじっと見まもっていた。今この瞬間にも、敵へなにか合図をしている者があるかも知れないと思ったからだ、銃弾はしばしば樫木を打った、そしてばらばらと樹皮をはね飛ばしたり、幹を抉ってうしろにいる新九郎の頬をかすめたりした。
「これあたまげたなあ」すぐ右がわの堆肥の山のかげで妙な声をあげる者があった、「この騒ぎのなかでおれの頬ぺたを蚊が喰った、よっぽどかつえていたんだなあ」それを聞いてまわりにいた四五人のくすくす笑うこえがした。新九郎も思わず苦笑した。