Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆうもやのなか

夕靄の中

山本 周五郎

Leggi 夕靄の中 (ゆうもやのなか) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9522 caratteri · 19 schermate

Aozora Bunko

そういう店にいて、二十六になるまで、ついに結婚の機会もなかったとすれば、あまり縹緻もよくなかったことだろう。友達よりも良い玩具を持つと、恥ずかしくて見せられなかったという、内気で温和しい娘。……いつも他人を立てて、自分はひっそりと蔭に坐っている。繁二郎という手代とはどんな関係だったのか、息をひきとるまで、うわごとに名を呼んでいたというが、死んでも訪ねて来ないようすから察すると、片想いだったと考えられる。

「私はおいねさんと夫婦約束をしていました」

彼は衝動的にこう云いだした。いけない、ばかなことを云うなと、抑える気持もあったが、口をついて出る言葉はもう止めようがなかった。

「もう少し待てば、店を出して貰えるんです、五年まえから好きあって、末は夫婦と約束をしてからも、二年経ちます」

「まあ、……そんなにまえから」

「あと半年、せいぜい半年もすれば、店が出せる、そうしたらおっ母さんにうちあけよう、私には親きょうだいがありません、祝言をしたらおっ母さんにも来て貰って、三人いっしょに暮そう、そう話しあって、楽しみにしていたんです」

「そうでしたか、そんなふうに云って下すったんですか、わたしまで引取って下さるって」