Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆうがおのもん

夕顔の門

吉川 英治

Leggi 夕顔の門 (ゆうがおのもん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.956 caratteri · 29 schermate

Aozora Bunko

地の下に、蚯蚓が泣きぬいて、星の美しい夜となった。夜となれば暑い夏も、ずっと冷々して、人間の心からも、焦々したものを拭ってゆく。

『……うううむ。……ううム……』

庭の隅の鷹小屋から、時折、苦しげな太い呻きがながれてくる。それは、お市と兵庫の、六年間の苦しみを、一時にがき苦んでいるような呻きだった。

お市の耳へも、それは聞えてゆくに違いない。捨てて置けば、出血は止まるまいし、刻一刻と、生命が縮められてゆくことも知れきった事である。

そのうちに――がたんと、裏の方で、物音がした。

兵庫は、すぐ窓を開けて、

『誰だっ』

と、咎めた。

『あ……吃驚いたしました。仲間の由松でございます。諫早の病人が快くなったので、唯今戻って参りました』

『オ……由松か』

『御用を欠いて、相すみませんでした』

『いい所へ戻ってくれた。早速だが、金創薬の有合せがあるか』

『ございます』

『それと、片口注へ焼酎をなみなみ注いで、晒布と一緒に、鷹小屋の前へ持って行ってやれ。――外へ置いてくればいいのだぞ、中へは這入るなよ』

『へい』

由松は、不審な顔をしながら、とにかく吩咐けられた品を揃えて、裏庭の奥へ運んで行った。