Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆうがおのもん

夕顔の門

吉川 英治

Leggi 夕顔の門 (ゆうがおのもん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.956 caratteri · 29 schermate

Aozora Bunko

その上、刺止まで刺すのは武士の情ではない。――のみならず、それでは、旧主の惣七どのを、是が非でも、わが娘を成敗せねばならぬ破目に立たせてしまう』

『……分りました。貴方のお言葉で、小さい意地や男の体面のほかに真の武士道とは、大きな而も優しい愛のあるものだと分りました。――もう何事もわすれます。どうぞその駕、お通しくださいませ』

『かたじけない』

兵庫は、それを惣七に伝えるつもりで、駕のそばへ戻って来たが、ふと見ると、お市の乗っている底から、血しおのながれが、無数に地を走っていた。

『しまった!』

兵庫は、駈け寄るなり、駕のたれを刎ね上げたが、もう間にあわなかった。吾儘で、容易に意志を曲げない女だけに――自ら喉を突いた短い刃も、襟へ抜けるほど深く貫いていた。

そして膝には、夕顔の蔓に、まだ萎れていない二、三輪の白い花が乗っていた。

『……兵庫どの。娘はやはり武士の娘に違いはなかったのじゃ。わしが悪かったかも知れぬ。いや悪かった、悪かった。……ゆるして下され』

大地へ手をつかえた惣七は、怺える嗚咽を、脆くも老の肩骨にふるわせて、いつ迄、顔を上げ得なかった。

『――それ』