Classici giapponesi con furigana
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よるのくつ
夜の靴
横光 利一
Leggi 夜の靴 (よるのくつ) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 107.056 caratteri · 213 schermate
この村の近くの村に、供出係りで、供出量が不足し責任を感じ自殺したものが一人いる。長い戦争中、このような責任観念のつよかった供出係りは全国に一人もなかったことは、これは東京の新聞も報じて有名なことだが、私のいるこの村も、それと似たところもある、どこの村より真っ先かけの立派な完納ぶりが、敗戦の結果、今になった米不足で、組合長だけ攻撃されて来たのである。
「あなたはどこにいらっしゃる。」
と私は鶴岡の街で人からよく訊ねられるが、西目だと答えると、ああ、あの村は良い村だと誰もいう。
十月――日
葱の白根の冴え揃った朝の雨。ミルク色に立ちこめた雨の中から、組み合った糸杉の群りすすんで来るような朝の雨だ。峠を越えて魚売りの娘の降りて来る赤襷。その素足、――参右衛門の炉端へ人が集っている。どうやらこのごろになって、村民は私をも隣組の一員として取扱ってくれるようになって来た。私も観察を止めよう。またそれも出来そうになって来ている。組長がこの集りの炉端へ役場からの報告を持って来て、云うには、――
国旗は命じたときでなければ出してはならぬ、道路は左側通行の厳守、十四歳以下の子に牛馬を曳かしてはならぬ、武器刀剣ことごとく提出すべし、以上、進駐軍からの命令だとの事だ。