Classici giapponesi con furigana
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よるのくつ
夜の靴
横光 利一
Leggi 夜の靴 (よるのくつ) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 107.056 caratteri · 213 schermate
そして、楕円形の見事な大櫃には盛り上った白飯が置かれ、それを包んで並んだ膳には、主人の参右衛門がこの日磯釣りして来たあぶらこという魚が盛ってある。主人の横に、まだ復員しない長男の蔭膳が置かれてあって、これとその嫁の膳と並んで二つだけ高膳である。
私ら一家疎開者の客には、粒粒辛苦一年の結実ならざるなき膳部が尽く光り耀くごとき思いがした。厚い鉄鍋で時間をかけて煮た汁や餅は実に美味だ。あぶらこという魚は長さ四五寸の小さなものだが、このあたりではこの魚を非常に珍重する。なまずを淡泊にした細かい味のものだ。
その他、醤油も味噌も、そば、納豆、菜類、これらは皆、ここの清江一人の労働で作ったもので、「雨の日も風の日も」と、人の謡うのも道理だと思った。由良の老婆もこの夜は私の前の膳について神妙に食べている。参右衛門はどこで手に入れたものだか珍らしく私に一献酒を注いでくれた。久しぶりの酒である。いつも祭日より帰って来ない参右衛門の末娘のゆきも来ている。この村の一番の大地主の所へ奉公している十七の娘だが、長男の嫁と二人並ぶと仏間も艶めき、その傍ら忽ち平げていく天作の手つきも鮮やかだ。