Classici giapponesi con furigana
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Leggi 夜光虫 (やこうちゅう) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.871 caratteri · 134 schermate
「ありがとう。ライターの石がなくなっちゃったもんだから……」
少年らしい虚栄だった。
煙草を吸うくせにマッチを持たぬのかと思われるのは、癪だと思ったのだ。すると、
「下手な東京弁を使うな。君は大阪とちがうのか」
いきなり男の声が来た。
三十前後の、ヒョロヒョロと痩せて背の高い、放心したような表情の男だったが、眉には神経質らしい翳があり、こういう男はえてして皮肉なのだろうか。
「ほな、何弁を使うたらいいねン……?」
「詭弁でも使うさ」
男はひとりごとのように、にこりともせず言った。
その洒落がわからず、器用に煙草の輪を吹き出すことで、虚勢を張っていると、
「――君はいくつや」
と、きかれた。
「十八や。十八で煙草吸うたらいかんのか」
先廻りして食って掛ると、男は釣糸を見つめながら、
「おれは十六から吸っている」
豹吉はやられたと思った。
「朝っぱらから釣に来て、昼のお菜の工面いうわけか」
仕返しの積りで言うと、
「落ちぶれても、おりゃ魚は食わんよ。生ぐさいものを食うと、反吐が出る」
「ほな、何を食うんや」
「人を食う。いちいち洒落を言わすな」
男の方が役者が一枚上だった。