Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Leggi 夜光虫 (やこうちゅう) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.871 caratteri · 134 schermate

Aozora Bunko

どちらも、びっくりしたように、眼が飛び出している。

兄弟かも知れない。

豹吉はふと腕時計を見た。十時十分前だ。

「まだ十分ある」

豹吉は二人の少年の方へ寄って行くと、

「――お前磨け!」

小さい方へ靴を出した。

大きい方の少年はあぶれた顔であった。

片一方磨き終ると、豹吉は、

「それでええ」

「まだ片足すんどらへんがな」

「かめへん」

と、金を渡すと、豹吉はこんどは大きい方の少年の方へ、

「こっちの足はお前磨け」

「…………」

「心配するな。金は両足分払ったる」

「オー・ケー」

いそいそと磨き出した。

通り掛った巡査がじろりと豹吉の顔を見て行った。

豹吉はふと、香里の一家みな殺しの犯人が靴を磨いているところを、捕まった――という話を想い出した。

磨き終って、金を払った途端、豹吉はまたもや奇妙なことを思いついた。

豹吉はペッと唾をはいた。

が、べつに不機嫌だというわけではない。

むしろ機嫌のよい証拠には、両の頬に憎いほど魅力のあるえくぼが、ふっと泛んでいる。

だしぬけに泛んだ思いつきの甘さに自らしびれていたのだ。

「おい、お前ら珈琲飲み度うないか」

豹吉は靴磨きの兄弟に言った。