Classici giapponesi con furigana
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ゆめ
夢
Leggi 夢 (ゆめ) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6412 caratteri · 13 schermate
薄赤い絨氈の上に横たわったモデルはやはり眉毛さえ動かさなかった。わたしはかれこれ半月の間、このモデルを前にしたまま、捗どらない制作をつづけていた。が、わたしたちの心もちは少しも互に打ち解けなかった。いや、むしろわたし自身には彼女の威圧を受けている感じの次第に強まるばかりだった。彼女は休憩時間にもシュミイズ一枚着たことはなかった。のみならずわたしの言葉にももの憂い返事をするだけだった。しかしきょうはどうしたのか、わたしに背中を向けたまま、(わたしはふと彼女の右の肩に黒子のあることを発見した。)絨氈の上に足を伸ばし、こうわたしに話しかけた。
「先生、この下宿へはいる路には細い石が何本も敷いてあるでしょう?」
「うん。……」
「あれは胞衣塚ですね。」
「胞衣塚?」
「ええ、胞衣を埋めた標に立てる石ですね。」
「どうして?」
「ちゃんと字のあるのも見えますもの。」
彼女は肩越しにわたしを眺め、ちらりと冷笑に近い表情を示した。
「誰でも胞衣をかぶって生まれて来るんですね?」
「つまらないことを言っている。」
「だって胞衣をかぶって生まれて来ると思うと、……」
「?……」
「犬の子のような気もしますものね。