Classici giapponesi con furigana
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ゆめじゅうや
夢十夜
Leggi 夢十夜 (ゆめじゅうや) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.992 caratteri · 33 schermate
そうしてしきりに感心している。そのほかにはこれと云うほどの特色もない。
あまり女が通らない時は、往来を見ないで水菓子を見ている。水菓子にはいろいろある。水蜜桃や、林檎や、枇杷や、バナナを綺麗に籠に盛って、すぐ見舞物に持って行けるように二列に並べてある。庄太郎はこの籠を見ては綺麗だと云っている。商売をするなら水菓子屋に限ると云っている。そのくせ自分はパナマの帽子を被ってぶらぶら遊んでいる。
この色がいいと云って、夏蜜柑などを品評する事もある。けれども、かつて銭を出して水菓子を買った事がない。ただでは無論食わない。色ばかり賞めている。
ある夕方一人の女が、不意に店先に立った。身分のある人と見えて立派な服装をしている。その着物の色がひどく庄太郎の気に入った。その上庄太郎は大変女の顔に感心してしまった。そこで大事なパナマの帽子を脱って丁寧に挨拶をしたら、女は籠詰の一番大きいのを指して、これを下さいと云うんで、庄太郎はすぐその籠を取って渡した。すると女はそれをちょっと提げて見て、大変重い事と云った。
庄太郎は元来閑人の上に、すこぶる気作な男だから、ではお宅まで持って参りましょうと云って、女といっしょに水菓子屋を出た。