Classici giapponesi con furigana
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あやかしのつづみ
夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓
夢野 久作
Leggi 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 76.558 caratteri · 153 schermate
人間の心というものは不思議なものですね。こうしてこの森の中には敵も味方も居ない……全くの空虚であることが次第にわかって来ると、何がなしにホッとすると同時に、私の平生の気弱さが一時に復活して来ました。こんな気味のわるい、妖怪でも出て来そうな森の中へ、たった一人で、どうして来たのかしらん……と気が付くと、思わずゾッとして首をちぢめました。軍人らしくもない性格でありながら軍人になって、こんな原ッパのまん中に遥る遥るとやって来て、たった一人で傷つきたおれている自分の運命までもが、今更にシミジミとふり返られて、恐ろしくて堪らなくなりましたので、すぐにも森を出ようとしましたが、又思い返してジッと森の中の暗を凝視しました。
私がリヤトニコフの宝石の事を思い出したのは、実にその時でした。リヤトニコフは……否、私たちの一隊は、もしかするとこの森の中で殺されているかも知れぬ……と気が付いたのもそれと殆んど同時でした。
……早くから私たちの旅行を発見していた赤軍は、一人も撃ち洩らさない計略を立てて、あの森に先廻りをしていた。そうして私たちをあの森に追い込むべく、不意に横合いから機関銃の射撃をしたものと考えれば、今までの不思議がスッカリ解決される。