Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あやかしのつづみ

夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓

夢野 久作

Leggi 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 76.558 caratteri · 153 schermate

Aozora Bunko

オヤと思ううちに蓋をあけて中にある風月のモナカを一つ抓んで自分の口に入れてから私の方にズイと押し進めた。

「いかがです」

私は少々度胆を抜かれた。しかしそのうちに妻木君の唇の両端が豆腐のように白く爛れているのに気が付くと、やっとわかった。妻木君は甘い物中毒で始終こんなことをやっているのだ。そのために胃をメチャメチャに壊しているのだ。そうして、かかり合いにするつもりで私を呼び上げたものらしい。用事とはこの事かと思うと私は急にこの青年と心安くなったような気がしてすすめられるままに手を出した。

ところが妻木君の喰い方の荒っぽいのには又流石の私も舌を捲かれた。初めに四つ五つ私を追い越して喰っているばかりでなく、私が三つ喰ううちに四つか五つの割りで頬張って飲み込むので、見る見るうちに箱の半分以上が空っぽになってしまった。

私はとうとう兜をぬいで茶を一パイ飲んだ。すると妻木君はあと二つばかり口に入れてから、うしろの書物の間から古新聞を出して、その中に残ったモナカの二十ばかりをザラザラとあけてグルグルと包んで書物のうしろに深く隠した。それから杉折りを取り上げるとペキンペキンと押し割って薪のように一束にして、戒名と一緒に奉書の紙に包んだ上から黒水引きでグルグル巻きに縛った。