Classici giapponesi con furigana
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あやかしのつづみ
夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓
夢野 久作
Leggi 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 76.558 caratteri · 153 schermate
君の御先祖の遺言通りに……」
「僕の手で……」
「そうだ。僕は精神上肉体上の敗残者なのだ。この鼓の呪いにかかって……痩せ衰えて……壊す力もなくなったのだ」
と云いつつすこし暗くなった外をかえり見て独言のように云われた。
「もう来るかも知れぬ、鶴原の後家さんが……」
私はうな垂れて鶴原家の門を出た。
この日のように頭の中を掻きまわされたことは今までになかった。こんな家が世の中にあろうとは私は夢にも思い付かなかった。何もかも夢の中の出来事のように変梃なことばかりでありながらその一つ一つが夢以上に気味わるく、恐ろしく、嬉しく、悲しかった。
恩義を棄て、名を棄て、自分の法事のお菓子を喰べられる若先生――それを甥だと偽って吾が家に封じこめて女中同様にコキ使っているらしい鶴原子爵未亡人……そうしてあの美しい化粧室、あの薄気味のわるい病室、皮革の鞭、「あやかしの鼓」――何という謎のような世界であろう。何というトンチンカンな家庭であろう。眼で見ていながら信ずる事が出来ない――。
こんなことを考えて歩いているうちに、私はふと自分の懐中が妙にふくらんでいるのに気が付いた。