Classici giapponesi con furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Leggi 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) di 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 108.647 caratteri · 215 schermate
これが太子の追究された大乗の急所であったと僕は信じている。太子が救世菩薩として仰がるる所以は、救いや解決を現世に与え給うたからではない。現世の昏迷に身を投じ、救いも解決もなく、ただ不安に身を横えられたその捨身故にこそ菩薩として仰がるるのである。死ぬまで地獄と対決し、忍耐した、その救いのない深い憂苦の姿が、即ち後世の僕らにとっては生々とした救いとなるのではなかろうか。「以和為貴」という思想が、太子の心に何らの安心をももたらさなかったということが肝心だ。むしろ時代の深傷から出た呻吟の言葉であった。大切なのはその解釈ではない。それを発言された折のあらゆる表情陰翳を如実に想像する宗教的想像力である。僕は太子時代の歴史をかきながら、かかる想像力のいかに稀有至難であるかを痛感した。
太子の生涯を辿りつつ、僕は今の世に生きて行く上での勇気を深く示唆された。仏教教義や憲法論と云ったものではない。時代に真向からぶつかって、時代に深く傷つくということだ。時代の深傷を生ま生ましく刻印され、その傷痕をして聖痕たらしめよ。これが太子の示唆されし最大の教訓であった。戦争に深く傷ついた人間は、平和にも同様に傷つくであろう。