Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.722 caratteri · 286 schermate
あるいは、こうして悪く落付いたり、勿体をつけたりするだけに自信があるのかも知れないと、兵馬は多少心中たのもしがっているところへ、おやじは、
「で、お前さん、わしはこうして仕事をしているから、遠慮なく打ち込んでおいでなさい、竹刀でも、木刀でも、真剣でもかまいませんから……」
けれども兵馬は、この老人に打ってかかろうとも、斬ってかかろうともしませんでした。この老人を打ち取っても功名にはならない。絵馬代用の鍋蓋試合をはじめたところで芝居にもならない。しかし、それから老人と話し込んでいるうちに、老人の語るところのものには、なかなか聞くべきものがありました。
竹刀の稽古と真剣とは全く別物であること。剣術の巧者は必ずしも真剣の勇者ではないこと。誰もいいそうなことだが、この老人は相応に実験を積んで来たと見えて、耳新しく聞えました。そのうち、初心の人が、真剣の立合をやむなくせられた場合、すなわち、どうしても刀を抜いて立合わねばならぬ場合には、眼をつぶって立合うに限る――ということから、いったい、人間の眼というものは見るべからざるものを見る時は、害あって益がないものだということ。