Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.722 caratteri · 286 schermate
「かごとをいわずと、名を名乗れ、案内もなしに、尋ねて来たのは誰じゃ」
といって神尾主膳が、荒々しく向き直りました。
「へえ、どうも相済みませぬ」
顔を見せないで、声ばかりしている男が、たしかにこの襖の外に来ている。それを聞いて神尾はじれ出しました。
「ただ、済まないでは済むまい、夜陰、人のおらぬはずのところへ忍び込んで来た奴、盗賊に相違あるまい……盗賊でなければ名を名乗れ」
「へえ、恐れ入ります、七兵衛でございます」
「ナニ、七兵衛?」
「左様でございます」
「七兵衛とはどこの何者だ」
「お忘れになりましたか?」
「知らん、左様な者は覚えはない、誰にことわって、何の用で入って来たのだ、不届きな奴」
神尾主膳は、荒々しく立って長押の槍を下ろして、それを突っかけて襖を押開きましたが、誰もおりません。
ほどなく御行の松の下に立ったのは裏宿の七兵衛。額の汗をふきながら、
「あぶねえ、あぶねえ」
と言いました。
この時、生垣の蔭から、不意に槍を持って姿を現わしたのが神尾主膳です。執拗いこと。怪しい者を追いかけて、ここまで槍をつっかけて来たのです。
神尾主膳には多少槍の心得があって、九尺柄の槍を座に近いところへ置き、いざといえばそれを取ることにしている。