Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.722 caratteri · 286 schermate

Aozora Bunko

そうして、また油壺を前にして、ぼんやりと、かしこまっていましたが、誰も戻っては来ません。当の人がいないのを幸いに、立帰るほどの元気もなく、主なき炬燵に膝を入れるほどの勇気もなく、油壺を前にして、ぼんやりと、立っていいのか、坐っていいのか、わからなくなりました。

こうして取残された男妾の浅吉は、いくら待っても、誰も戻っては来ません。

待ちあぐんでしまった浅吉は、しばらくのこと、ひとまず引取って、また出直そうという気になりました。

そこで、油壺を取り上げて、戸棚へ仕舞い込んでおこうとする途端に、行李の中で、パッと自分の眼を射るものを見つけました。

お雪が取急いだものですから、行李の中に残された本が整理しきれず、手軽に投げ込まれてあった中に、眼を眩惑するような、極彩色の浮世絵の折本が一冊、ほころびかかっているのを見たものですから、油壺をそこへ差置くと、その折本をたぐってみました。

見れば、それは源氏の五十余帖を当世風に描いたもので、絵は二代豊国あたりの筆。版も、刷りも、なかなか精巧で、そこらあたりの安本とは、趣の変った情味がゆたかです。

浅吉は吸い入れられるように、その絵本に見入りました。