Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.722 caratteri · 286 schermate
ですから、先生、ぜひ、あの護身の手を一つ教えておいてくださいまし、もし、不意に咽喉でも絞めに来るとか、また刃物でも持って向って来た時には……」
後家さんが、再び、護身の手のことをいい出した時、竜之助はその左の腕を後家さんの背後から伸ばして、その襟を取ってグッと絞め、
「左様、後ろから絞められた時は……」
不意でしたから後家さんが、よろよろとよろけかかりました。
不意のことでしたから、後家さんも仰天して、よろよろよろけかかるのを竜之助は、
「もし、これを強く絞めようと思えば、こう親指を深く入れて、べつだん力を入れずにグッと引きさえすれば……動けば動くほど深くしまるばかりだ」
と言いながら、後ろから腕を深く入れると、後家さんは、
「あ、あ」
といって息を吹くばかりで口が利けません。後家さんの聞こうとするのは、深く絞める仕方ではなく、絞められた時に、振りほどく手段なのです。ですから、いったんしめた手をゆるめて、その解き方を示すべき時に、竜之助は、無意味にその手をゆるめられなくなりました。
この男には、かりそめの絆が、猛然たる本能を呼び起すことは珍しくないので、活殺の力をわが手に納めた時に、それを無条件でつっぱなしきれなくなるのがあさましい。