Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.722 caratteri · 286 schermate

Aozora Bunko

ところが来て見れば、当の御本人が至極平気で、かえって助けに来た自分を邪慳にし、

「そんなわけじゃないよ、お前こそ、わたしを殺したがっているくせに……」

「どう致しまして」

「さっきから、なんだって、あっちこっちでわたしを呼び廻っているの。山の中だからいいけれど、世間へ出たら外聞が悪いじゃありませんか」

「どうも済みません」

「いいから、お帰り、お前ひとりでお帰り、わたしはこの池を廻って帰るから……」

「ですけれど、お内儀さん……」

「何です」

「お危のうございますよ」

「何が危ない。しつこい人だ、お前という人は。うるさい!」

「けれども……」

「大丈夫だよ、お前こそ一人歩きをして、熊にでも食われないように、気をおつけ」

後家さんは、こういって浅吉を振りつけて行こうとすると、浅吉の眼の色が少し変りました。

「お内儀さん……どうしても危ない、あの方と一緒に歩いてはいけません」

「何をいっているんだい、失礼な」

「どうぞ、わたしと一緒にお帰りなすって下さいまし」

浅吉は、とうとう後家さんの袖をつかまえてしまいました。これほどに思い込んで引留めることは、この意気地無しには珍しいことです。