Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.722 caratteri · 286 schermate
「全く……」
男は苦しい声で叫びました。
「殺してしまいたいんですけれども、私は意気地なしでございます」
意気地なしは今はじまったことか――
その時、思わず竜之助の血が熱くなりました。一番その淫乱の後家をきってやろうかな。五十過ぎたとはいえ、脂ぎって飽くことを知らぬ女の肉体。きってまんざらきりばえのないこともあるまい。
そうなると、いよいよ冷然たるもので、竜之助は冷罨法をつづけながら、
「これ、若い衆……」
「えッ」
男妾が、そのつめたい呼び声にヒヤリとします。
「お前は、本心からその女がいやなのか」
「いやでございますとも――死ぬほどいやでございます」
「その女が死ねばお前は助かるのだな、お前の力で殺せれば、殺したいのだが、その力がないとこういったな」
「ええ、その通りでございますとも、自分が殺されるか、あの婦人を殺して助かるかの境でございますが、私は意気地なしで、とても人を殺すことなんぞはできませんから、みすみすあの婦人にいびり殺されてしまうんです」
「よろしい、それでは、わしがお前の代りに、その女を斬ってみよう」
「えッ」
その時、男妾はゾッとして、
「えッ、ただいま、何とおっしゃいましたか」