Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.467 caratteri · 168 schermate
今日も兵馬は、何か心当りあって早朝に出て行きました。あとに残ったお雪ちゃんは、イヤなおばさんの着物を縫い直すために針を運びながら、「死」ということを考えさせられておりました。
ああ、わたしたちの行く道は、「死」というものよりほかは何物もないのではないかと。
お母さんも死んだ、姉さんも死んだ、誰も彼もが死んで行く、あたりまえに死ねない人は殺されてしまう。
どちらにしても、人間には死というものが待っている。若い身空のお雪ちゃん、無邪気な生の希望に満ちみちていたお雪ちゃんが、今日は死ということの予想に、かえって幾分の慰めを感じているのです。
この世の中は、そんなに長く生きているところではない、人を離れてよく生きようとか、山へ遁れて楽しく生きようとか、憧れていた自分の思いというものは一切空想で、行けば行くほど重しが加わってくるのが、結局この世の習いではないか、それで、早くこの世を去るということが、かえって人間のいちばん幸いなことではないか――
お雪ちゃんは、それを空想ではなく、現実眼の前に眺めました。
ほんとにそうでした。よく生きようの、好きに暮そうのと思えばこそ、一層の重荷が負わされるのでした。