Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 254.021 caratteri · 495 schermate
「こいつはどうも……」
小判と思って受取ったのが、急に木の葉になってしまったように、がんりきの百の野郎は呆れ果てて、その瓦っかけを見つめて、きょとんとしている。
「古瓦をおみやげに下すって、どうも有難う」
お蘭どのがわざと御丁寧に、がんりきの百の前へ頭を下げて、
「結構なおみやげを、たくさんにどうもありがとうございました」
二度、ていねいに頭を下げました。
「ちぇッ、つまらねえ」
さすがのがんりきの百の野郎もすっかりてれて、うんがの声が揚らない。自分の眼と腕とを信じ過ぎたのか、信じ足りなかったのか、全く狐につままれたような思いで、
「こういうはずじゃなかったんだが」
「いや、そういうはずなんですよ、宮川べりで精分を抜かれておいでなすったから、物忘れをなすったんだわ。それはまあお茶番として、お笑い草で済むけれど、済まないのはこれからの、わたしの身の振り方――それから差当りの路用の工面。こればっかりはお茶番では済まされない、真剣に工夫をしなけりゃ、第一、ここの宿の払いでさえ……」
お蘭どのが、いやに意気地なくなった時、がんりきの百はうんと一つ息を呑込んで、
「もう大丈夫、相当のものをものにしようとしたから当り外れがあるんだ、その日その日の小出しなら、なんの心配があるものか」