Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 254.021 caratteri · 495 schermate
米友が、ついに堪りかねて、憤然として弁信のお喋りの中へ楔を打込みました。
「わからねえ、わからねえ、お前の言うことは一切合財、ちんぷんかんぷんで、早口で、聞き間に合わねえが、つまり、舟の行先が間違ったというんだろう、なあに、間違やしねえよ、爪先の向いた方へ真直ぐに漕いで来たんだ」
「それが、米友さん、自分は真直ぐなつもりでも、出発点というものが誤ると、その真直ぐが取返しのつかない道へ突っかけるものなのです、竹生島へ参りますには、戌亥へ向いて参らなければならないのに、この舟はいま未申の方へ向いて進んでいるのです、これでは竹生島へ着きません」
米友は櫓の手を止めて、弁信の言葉にはあんまり耳を傾けず、渺々たるみずうみの四辺をグルグル見廻しておりましたが、急に威勢のはずんだ声を出して、
「待ちな――」
と言いました。
「待ちな、弁信さん、お前さっきから目も見えねえくせに、方角が違うの、この分では島へ着けないのと、ひとりぎめでやきもき言っているが、論より証拠だ、見な、島が見えるよ、つい、その鼻の先に、立派な島が浮いてるよ」
「えッ――島がありますか」
「見な――と言ってもお前にゃ、見えねえんだな、おいらのこの眼で見て間違えがねえ、そら、ちゃんと、この指の先に島があらあ」