Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.484 caratteri · 60 schermate
その勢いで、本陣へ上って伊太夫に面会したが、もうその時は、さきほど心配した自分の責任感のことなどは、いつしかケシ飛んでしまって、晒しの鬱憤で張りきっていました。それでも、つとめて抑制して、伊太夫へは丁寧な挨拶を試みたつもりですけれども、挨拶が済むと早くも暇乞いでした。
「ほんとに、大旦那様、万事ゆっくりとお話し申し上げ、お詫びも申し上げなければなりませんのですが、急に、急ぎの用事が出来ましたから、これから、ちょっと一走りかけつけて見て参ります、様子を見届けた上で、引返してすぐまたお伺い致します、ほんとに、旅へ出たからって、楽はできません」
お角さんの余憤満々たるのを、伊太夫は只事でないと見て取ったものですから、
「まあ、落着きなさい、何かお前さん、よっぽど張り切っておいでなさるが、何事が起ったのです」
「いえ、なあに、つまらないことなのですが、うちの若い者が……いいえ、以前うちに使っていた若い奴が、気が早いものですから、旅に出て、失敗をやらかしちまいまして――困った奴ったらありません」
「どうしたのですかな。旅に出ては間違いが起り易いから、うっかり張りきった気分のままでやると、かえって事こわしになりますよ、何事です」