Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Leggi 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 285.635 caratteri · 558 schermate

Aozora Bunko

『何をクヨクヨしているの、お雪ちゃん……もしねんねが生れたら、大切に育ててお上げなさいな、それがイヤなら、おろしておしまい、間引いておしまい、殺しておしまい』

ああ、弁信さん――

この次に、わたしが、あなたに手紙を書く時、わたしの心持が、どんなに変るかわかりますか」

十四

駒井甚三郎と、田山白雲とは、房州南端の海岸を歩いている。

駒井は、軽快な洋装をして手に鞭を持ち、白雲は、鈍重な形をして画框を腋にかい込んでいる。二人ともに眼は海上遠く注がれながら、足は絶えず砂浜の上を歩いている。

田山白雲は房州に来て、海を見ることの驚異に打たれてから、しきりに海を描きたがっているらしい。

白雲がいう。

「いや、水の色にこうまで変化があろうとは思いませんでした」

「線と点だけで、この変化が現わしきれますかね?」

と二人が相顧みて立つ。

「左様――谿谷の水と、河川の水とは、東洋画の領分かも知れませんが、海洋の水は、色を以て現わした方が、という気分がしないでもありません」

「線を以て、色を現わし得るというあなたの見識が動き出しましたか?」

「そういうわけではありません……つまり、淡水と鹹水との区別かも知れません。