Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Leggi 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 285.635 caratteri · 558 schermate
ところで、人気者同士には、また人気者同士で、競争があるのだからやりきれない。好んでそのイヤな人気者になりたがって、給金がよけい取れるとか、人にチヤホヤされるとかいって納まり返り、またその納まり返った人気を、他から奪われまいとして血眼になっている。おそらくこの世に、興行師のために、人気者として祭り上げらるるほど悲惨なものはあるまいと、山海の自由に生い立った自然の子が、身を以て痛感しているらしいのを、兵部の娘も全くそれに同情しているものですから、今、そのことを考えると、急に心が暗くなりました。
しかし、安心したことには、薄明りの海の光で見ると、砂浜に人の足あとがあります。その形によって見れば、まごう方なき子供の足あとであります。
砂に足あとを認めたものですから、兵部の娘は、その足あとをたよりに、例の爪先走りで、砂浜を一散に走りました。
あるところは、波に洗われて、その足あとが消えているのを、ようやく探し当てて、ともかくも、その足あとの存する限り、走りつづけてみるの勇気を得たようです。
しかし、行けども、行けども、十里の平沙で、一方は海の波の音ばかり――暫くして、ようやく一つの人影を認めました。