Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Leggi 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 285.635 caratteri · 558 schermate
どこまでも、世渡りの裏を行って、生馬の眼を抜くという人間共のかすりを取って、なにくわぬ面で今日まで生きていられた自分というものが、今晩はここで、人並足らずの間抜けのような若い男と、畜生の一つのために腸まで見透かされているというのも、痛いような、痒いような、くすぐったいような、わけのわからぬ訳合いのものだ。
そこで七兵衛は、空しく、
「なるほど」
と頷いて、与八の面をながめたっきりです。
「この縄を取っておくんなさい」
と与八が言いました。放心したもののような、緩めきってはいたが、さいぜんの縄は、やはり与八の首に巻きついているには、巻きついていたのです。
「なるほど」
と言ったが七兵衛は、要求通り、その縄を外してやろうでもなし、それを強く締めようでもなし。
「ねえ、縄を取っちまっておくんなさいよ」
「ま、待ってくれ」
七兵衛は耳を澄まして、何か物の気配をうかがおうとしているのは、つまり犬が怖いのでしょう。たった今吠えられたという犬が、自分のあとを追いかけて来て、或いはその辺の戸際に待伏せでもしてはいないか。一応その気配をうかがった上で、身の振り方をきめようとの要心と見える。