Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Leggi 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 285.635 caratteri · 558 schermate
この辺で七兵衛は笠を取って、紐を結んでしまい、
「お仕置場というやつは、大抵場所のきまったものだが、そのうちにも処成敗というのがあって、悪事を働いたその場所で、臨時に首を斬られるやつもあるのさ。そういう時には珍しがって、近郷近在が一生の話の種と、見なくてもいい奴まで見に来るものだが、見て五日や七日は、飯が咽喉へ落ちないそうだ、なかには一生それが附きまとって、ああ、あんなものを見るんじゃなかったと、生涯苦に病んでいる奴もある、見ねえ方がいいさ。若い衆、お前さんなんぞも、もしや眼前にそんな噂があっても、決して見物に出かけなさるなよ、出世の妨げになるから、あんなものは決して見ねえ方がいい」
七兵衛は、細々と申し含めるようなことを言って、与八を煙に捲きながら、以前の裏の戸を押開けて、外の闇に消えてしまいました。
まもなく、七兵衛の道中姿を、多摩川を一つ向うへ隔てた吉野村の、柚木の即成寺の裏山の松の林の中に見出します。
非常に大きな赤松の林、ここから見ると山間が海の如く、前岸の村々の燈火が夜霧にかすんで、夢のような趣でありました。
大きな松の木蔭に立って、いま出て来た水車小屋のあたりを見下ろしている時分に、月がようよう上って、奥多摩の渓谷の半面を、明るく照らしたその光で見ると、七兵衛の眼にも露が宿るらしい。