Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Leggi 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 285.635 caratteri · 558 schermate
現在のあなたの総てを亡ぼしてしまうのみならず、過去の功徳をも、未来の果報をも、みんなその怒りの一念が、焼き亡ぼしてしまうのでございます、怖ろしいことではございませんか」
と言って弁信法師は、また立ちどまって、戦きました。
「その瞋恚というものは……」
弁信は見えぬ眼を上げて、高く、暗黒の空の一辺をながめ、
「瞋恚というのは、十種煩悩の一つでございまして、また三毒の、その一つでございます。ひとたびこの煩悩の虜となり、この悪毒に触れまする時は、賢者も愚者となり、英明の人も混濁のやからとなり、英雄も弱者となり――数千劫の功徳を積んだ聖僧でさえも、一朝の怒りのために、積薪を焼くが如く、その功徳を亡ぼしてしまいます。されば三界のうち、色界、無色界の二つの世界には、その怒りというものが無く、ただ欲界散乱のところにのみ、その怒りがあるのだそうでございます……千劫の間、積みたくわえた布施も、供養も、善行も、一瞋恚の火によって、茅の如く焼き亡ぼされるということを、釈尊もお示しになりました――お嬢様、大抵の人は、憤怒は人から卑しめられ、或いは他より辱しめられた時に起るのでございますが、あなたのは、人を卑しみ、人をのろうの心から起っていることを、私は蔭ながらお察し申しもし、また御同情も申し上げているのでございます」