Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Leggi 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 368.567 caratteri · 720 schermate
前に言った通り、この席には、銀杏加藤の奥方の身の上について、予備知識を持っている若手も多いことでしたから、勢い、それは最初の発端にまで遡っての一代記にならないわけにはゆきません。その話すところを聞いていると、この御城下に、加藤家というのは幾つもあり、東加藤だの、西加藤だの、或いは梅の木加藤だの、ゆずり葉加藤だのといって、いくつも加藤家があるけれど、この銀杏加藤は千四五百石の家柄で、知行高からいえばさほどではないが、家格はなかなか高い方であるとのこと――でもその家柄は、奥方のほうの家格に比べると、遥かに及ばないということ。
奥方は名立たる美人で、賢明の聞えが高いのに、当主は凡物で、そうして愚図に近いこと――その凡物で、愚図に近い夫を、長い間、面倒を見て来た奥方の賢夫人ぶりに感心せぬ者はなかったということ。そうして十年の間、連添っているうちに、三人の子供を設けた。その三人の子供、男二人、女一人を、もうこれならばというまでに育て上げた時分、夫人は改めて夫の前に出て、
「もうこれで、家の血統のことも心配はなし、わたくしも、妻としての、一応のつとめを、あなたに捧げたつもりでございます、かねてのお約束の通り、ここで、わたくしにお暇をいただかせて下さいませ――わたくしを、妻としてでなく、女としての自由をお許し下さいませ