Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Leggi 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 368.567 caratteri · 720 schermate

Aozora Bunko

「それはお嬢さん、殿様だって、あんな立派なお船をこしらえながら、知らん顔をしていらっしゃるじゃないの、何でも、仕事をする人はだまってしてしまいますよ」

「ませたことをお言いでないよ。ホントに、茂ちゃん、お前という子は、このごろイヤにませてきてしまって、始末にいけないよ。お放しってば、痛いから」

「このくらいのこと、痛いもんですか」

「痛いか痛くないか、人のことがわかって……そんならお前、こうしても痛くないかえ」

「痛い!」

茂太郎は横腹をツネられて、痛い! と叫んだけれども、それでも首に捲いている手は、ちっとも放さず、

「お嬢さん、そんな邪慳なことをするもんじゃありませんよ」

「何が邪慳です、甘たれ小僧」

「そんなに叱れば、あたい、また出て行ってしまってやるから」

「どこへでも、出ておいで」

「今度、出て行けば帰らないよ」

「勝手におし」

「いいの?」

「いいとも」

「あたいが帰らなくても?」

「あいさ」

「ああそうでしょう、あたしがいなくても、殿様がいらっしゃるからね」

「まあ……」

兵部の娘は、ちょっと横を向いて睨む真似をしながら、

「なんてこましゃくれたことを言うんでしょう、お前の言うこととは思えない」